「DX・RPAって聞いたことあるけど実際なんなの?」
「DXとRPAって何が違うのかよく理解できていない……」
近年よく耳にするようになったDXとRPAですが、人に説明できるくらいに理解しているという人は少ないのではないでしょうか。
DXの一環として多くの企業で導入が進んでいるのがRPAです。RPAは、業務内容を効率化するためにあらゆる業界の企業が導入しており、その効果は導入された企業から高く評価されています。
今回はそんなDXやRPAについて解説していきます。
この記事を読みDXやRPAについての理解を深めることで、自社での活用方法を考えましょう。
DX・RPAってなに?
DX・RPAと聞くと、名前くらいは聞いたことがあるけど具体的にどんなことを指す言葉なのか理解できていないという人は、多いのではないでしょうか。
簡単に説明すると、DXとはデジタルトランスフォーメーションの略で「新しいデジタル技術による改革」のこと。
RPAとはロボティックプロセスオートメーションの略で「ロボットやAIによる作業の自動化」を指しています。
現在経済産業省は企業のDX化を促しているため、近年ではビジネスの現場においてよく取りあげられています。
ここでは、そんなDX・RPAについてわかりやすく解説。
まずは単語の意味を理解して、実際に取り入れる準備をしましょう。
DXとは
DX(デジタルトランスフォーメーション)は、2004年にスウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授によって提唱された概念です。「進化し続けるテクノロジーが人々の生活を豊かにしていく」ことを表しています。
現在、ビジネス界隈で注目されているDX。
デジタル技術の急速な発展に伴い、新たなサービスや新規事業を展開する起業が続々と増える中、多くの企業が競争力の維持・強化を求められています。そのために必要なのがDXの急速な推進。
しかしDX人材の不足を主な原因として、本格的なDXの推進に足を踏み出せているのは先進的な一部の企業だけというのが現状です。
DX人材とは「デジタル領域に精通していて、かつビジネススキルを有している人材」のこと。
2018年には経済産業省から「DXレポート〜ITシステム「2025年の壁」克服とDXの本格的な展開〜」が発表され、2025年を節目に多くの企業が問題にぶつかると警鐘を鳴らしています。
RPAとは
RPA(ロボティックプロセスオートメーション)とは、コンピューターの画面上における人間の操作をコピーしてシステム間で発生するやりとりを自動化し、ロボットが処理する技術のことを指します。
RPAのロボットは、人間より正確に速くコンピューター上の作業をこなせて、Webサイト・スプレッドシート・メール送信など、PCの画面上で行うあらゆる動作を自動で実行することが可能です。
生産年齢の人口減少による人材不足・労働生産性の低迷・DXの必要性とDX人材の不足など、日本企業が抱える社会課題の対策方法として、近年あらゆる業界の企業から注目を集めています。
DXとRPAの違い
DXとRPAの関係は深いですが、それぞれ全く意味は異なります。
DXは「進化し続けるテクノロジーが人々の生活を豊かにしていくこと」という概念的な要素が強いのに比べ、RPAは「ロボットの処理技術」を指す言葉。
端的に言うと、RPAはDXという目的を達成するための手段と言えます。
新しいテクノロジーを活用して人々の生活を改革していくDXを、ロボットやAIを駆使したRPAの自動化により実現していくという流れになります。
RPAによって業務が自動化・効率化していくと、それはその組織のDX化が進んでいるということ。
しかし、ただRPAを取り入れればいいというものではなく、あくまでRPAはDXの手段であるため、DXのシナリオを綿密に設計しておくのが最も重要です。
RPAを使ったDXの成功事例
DXとRPAの意味や違いが理解できたところで、企業の成功事例を実際にご紹介していきます。
RPAを導入して人間が必要だった作業がなくなり人材不足が解消されたり、作業効率が向上したことにより利益率の増加に繋がったりした事例をみて、ぜひ自社と比較してみてください。
比較することにより、より具体的にRPAの効力が感じ取れるかと思います。
株式会社ファミリーマート
「あなたと、コンビに、ファミリーマート」のコーポレートメッセージのもと、全国津々浦々にコンビニエンスストアを展開するファミリーマートですが、他業種と同様に人材不足が課題となっていました。
そこで同社は2018年にRPA導入を決定。
2022年現在では、その成果がはっきりと出るようになりました。
例えばこれまでほぼ1日かけて担当者が作業していた店舗の売上分析が、RPAの導入後は1時間ほどで完了。その間担当者は別の仕事ができるため、さらに利益向上に努められるのだとか。
今後もファミリーマートではRPA推進を進めていき、そのゴールに見据える「従業員が創造的業務に注力できる環境づくり」の実現を目指しています。
KDDI株式会社
携帯電話サービスを中心に幅広い通信サービスの提供で知られるKDDIでは、電力分野や金融関連分野など多岐にわたるビジネスが拡大する中で、サービスに携わる人員の負担が高まっていました。
そこでKDDIが注目したのがRPAでした。
AI-OCRとRPAの組み合わせにより、発注申請内容のチェックに関わる業務の一部の自動化に成功。現場作業の生産工場を実現しています。
AI-OCRとは、紙に手書きで書かれた文章やコピーされたものを読み取るシステムです。
具体的には、価格交渉を伴う発注のような人間でなければ対応不可な部分を除いた定形型業務をロボットで自動化することで、人員への負担軽減と業務品質の向上を同時に達成しました。
RPAに適した業務を検討する際には、それぞれの業務のプロセスの可視化が必要になってきます。その中で、これまで見えていなかった業務の詳細が把握可能になり、最適化ができます。
KDDIでは、業務の品質向上や効率化のツールとしてだけでなく、業務改革のソリューションとしてRPAのさらなる推進に取り組んでいくようです。
サッポロビール株式会社
サッポロビールではRPAを導入した業務数を現在のおよそ3倍となる113業務数に拡大し、4万5000時間の削減を見込んでいます。
受領書と出荷伝票の照合作業にRPAを導入。受領書は手書きやドット印字の部分もあるため、これまでRPA導入は難しいとされていました。
しかし、ソフトウェアの技術的な進化により作業の自動化に成功。現在は全国の工場に導入されています。
また、営業部門における各種資料作成や生産部門の原料調達などの業務にもRPAを開発・導入しています。
これらの業務自動化が、業務の大幅な効率化やヒューマンエラーの削減、最適な人材配置を促していると言えるでしょう。
RPAを導入して得られるメリット・デメリット
経済産業省が発表した「2025年の壁」に向けて、現在多くの企業がRPAの開発・導入を進めています。
では実際にRPAを取り入れることでどのようなメリットが得られるのでしょう?また、RPA導入に際してデメリットとなることはあるのでしょうか?
ここではRPAを導入して得られるメリット・デメリットを、それぞれ分けて解説していきます。
実際に取り入れられるかの検討材料にしていただけたらと思います。
メリット
RPAを導入することで、企業には多くのメリットがあります。
- 作業効率化によってより生産性が高い業務ができる
- 人権技の削減
- ヒューマンエラー率の減少
- 24時間稼働できる
の4つに分けて詳しく解説していきます。
作業効率化によってより生産性が高い業務ができる
1つ目は作業の効率化です。
近年DX化の流れにのって多くの企業がRPAを導入していますが、実際にロボットで自動化できそうなことを挙げると、数百という数の業務が出てくることも。
ひとつの業務でも大企業となると数百人、中企業でも数十人を雇うようなこともあり、莫大な資金と時間が奪われてしまいます。
RPAの導入により自動化できるこれらの時間を他の業務に充てられれば、さらなる利益向上が期待できるできます。
また、ロボットによる作業は正確かつスピーディであるため、人間に比べてより質の高い業務が担保されます。
RPAの導入による自動化は作業効率とその質が高まり、より生産性の高い業務ができると言えるでしょう。
人件費の削減
これまで従業員がしていた業務内容を自動化することで労働時間の長期化が防げます。
これは従業員の心身のバランスを守るという点でも非常に重要です。そして残業や休日出勤などの手当に充てていた費用を抑えられるメリットもあります。
また、業務に必要な人材の数が減るため、採用コストや人件費をまるごと削減できることも。
RPAは導入時にかかる費用(場合によっては開発費も)こそ安くはありませんが、長期的な売上を考えれば非常にコストパフォーマンスがいいと言えます。
ヒューマンエラー率の減少
どんなに優秀な人間でもミスをしてしまう時はあるものです。
それが大きく売上や利益に影響を与える場合、最初からさらに細かくやり直す必要が出てくるため、従業員の負担はさらに大きなものに。
また、多くの場合そういったケアレスミスを防ぐために何重にもチェックする業務があります。
RPAを導入すればそういった業務を正確にこなせるためヒューマンエラー率を減少させられます。
RPAは一度システムを構築さえすれば常に一定のパフォーマンスを保てるため、読み込むデータが間違っていなければ作業時のミスはほぼゼロとなり、作業品質の向上と担保が可能になります。
24時間稼働できる
RPAはロボットやAIによる業務効率化を目指すものです。
人間であれば拘束時間が決まっていますし、働き方改革の影響で労働時間の短縮化が進んでいるため、残業や休日出勤などは少なくなってきています。
しかしロボットであればシステムトラブルやネットワークトラブルがない限り、365日24時間稼働させ続けられるため、業務の効率化だけでなく労働力の向上にも大きな効果が期待できます。
ロボットは人間と違い体調を崩して遅刻・欠勤や突然の退職などのリスクもありません。放っておいても常に一定の価値を出し続けることが可能な為、人にしかできない創造的業務にリソースを費やせるメリットがあります。
デメリット
上記で解説した通りメリットが豊富にあるRPAですが、少なからずデメリットも存在します。
- ITリテラシーを持ったDX人材が必要
- 費用対効果が必ずしも高いとは限らない
- 指示が間違っていてもやり続けてしまう
の3つに分けて解説していきます。
ITリテラシーを持ったDX人材が必要
ここまで読んでいただいた方は「RPAはメリットがたくさんあるし経済産業省もDXを推してるんだからすぐに進めようよ」と思うかもしれません。
しかしただRPAを導入しただけでは、失敗してしまうこともあるため注意が必要。
まずDX化やRPAを進めていくにあたって、それを牽引できる人材が必要になります。すでに社内に専門知識を持った人がいればいいのですが、そうでない場合ITリテラシーが高く事業を引っ張っていくことができるDX人材を確保しましょう。
社内にそういった人材がいない場合は、RPAを提供している導入コンサルタントに相談したり、外部から人を雇い社内での教育が必要になります。
企業でRPAを推進していくためには、それなりの導入コストを理解して臨みましょう。
費用対効果が必ずしも高いとは限らない
RPAを導入するには相応のコストがかかるもの。
RPAの選定、指示書の作成、ロボット作成、社員の研修、自動化する業務の洗い出しや現場での仕様テストなど、実際に稼働させるまでには多くの工程を要します。
これだけの業務を通常業務と並行してするのは難しい場合が多く、専門知識を持った会社に外注するケースも多く見られます。
また、RPAツールは最低でも年間数十万円の使用コストがかかると言われており、自動化させる業務が少ないと逆に経費がかさむだけという結果になってしまうことも。
単純な業務として細分化できる作業や、ある程度の規模感がある企業のほうが費用対効果は高いと言えます。
RPAの導入は自社の業務内容や規模感を十分に精査してから決定するようにしましょう。
指示が間違っていてもやり続けてしまう
RPAはロボットやAIを使用して業務を自動化・効率化させるものです。
ロボットに指示を出せばミスなくスピーディーに業務をこなしてくれますが、万が一誤った指示を出してしまっていた場合でも淡々と作業を続けてしまいます。
誤った指示を出さないために、作業開始前に動作テストをしたり定期的に業務フローと処理内容に異なる部分がないかチェックしたりして確認を怠らないことが重要と言えます。
逆に的確な指示さえ出せれば、人より遥かに的確にスピーディーな作業が可能であるため、ここさえ注意できれば会社の生産性は大きく高まるでしょう。
RPAによるDXの導入方法
ここまではRPAの導入例やメリット・デメリットなどについて解説してきました。
では実際に自社に取り入れる際にはどうすればいいのでしょうか?
ここからはRPAによるDXの導入方法を詳しくご紹介。
- 解消すべき課題を洗い出す
- 自動化できそうな業務を洗い出す
- IT人材の確保と社内教育の強化
の3つに分けて解説していきます。
最も実用的な部分になるため、よく見直しましょう。
解消すべき課題を洗い出す
RPAによるDXを推進していく際には、まず解消すべき課題を洗い出しましょう。
RPAについての情報を集めながら自社のどの業務で導入すべきなのかを検討します。実際にどの業務で活用するか検討しているうちに新たな課題が見つかることも。
またRPA導入後に新たな業務への活用方法が見つかることもあります。後々RPAを活用したい作業が出てくることを想定して、解消すべき課題を全て洗い出しておくのがベストでしょう。
導入後の運用時においても、解消したい課題をピックアップしておくことは重要と言えます。
自動化できそうな業務を洗い出す
解消すべき課題をすべて洗い出したら、その中でRPAに置き換えられる作業を決定します。基本的に自社でRPAを導入する場合は通常業務と並行して進めていかなければならないため、かけられる予算や時間は限られています。そのため優先順位ごとに検討していくのが重要に。
この際優先順位を決める指標として持ってもらいたいのが「定型業務であるかどうか」。
RPAは手順が複雑であったりイレギュラーに対応したりするのは苦手なため、そういった非定型業務ではなく、作業が一定な定型業務を優先しましょう。
データ入力やメール送信、転記作業など手順がシンプルで作業量が多いものが効果が出やすくオススメです。
RPAで自動化する業務内容を洗い出したら、自動化する業務の範囲や順序、トラブル発生時の対処法などを従業員の誰もがわかるような形でマニュアル化しておくと、よりスムーズにRPA導入が可能でしょう。
まにゅまるスクリプト。では、
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御社のニーズをヒアリングした後、専用のRPAツールを受託開発しています。
RPAの導入で具体的にどのような業務削減が可能かをご提案させていただいた後、ツールを制作いたします。詳しくはこちらよりお気軽にご連絡ください。
IT人材の確保と社内教育の強化
先にも述べましたが、RPAを導入して利益を向上させるためにはIT人材が必要になってきます。RPAをスムーズに進めるためには、DXやRPAに精通したIT人材を外部から確保し、DX推進チームを作るのがいいでしょう。
また、RPAを実際に稼働させるのは現場で働く従業員です。
チーム作りの他にDXにおける社内教育には力を入れましょう。社内に教育できる人材や環境が整っていなければ、外部の講師を雇ったりRPAサービスを提供している企業の講座を受けたりして、現場でRPAを最大限に活用できるよう工夫しましょう。
まとめ
今回は「DXとRPAの違い」をテーマにそれぞれの特徴やメリットをご紹介してきました。
それぞれのメリットやデメリット、導入までの流れも含めて解説したので、実際に自社のことに置き換えて考えられたのではないでしょうか。
復習も兼ねて、本記事の内容を簡単にまとめたいと思います。
- DX(デジタルトランスフォーメーション)は「新しいデジタル技術を用いて生活に改革を起こすこと」
- RPA(ロボティックプロセスオートメーション)は「ロボットやAIによる作業の自動化」のことで、DXを推進するための手段
- DXを推進していくためにはRPAを導入する必要があるが、メリット・デメリットを理解した上で取り入れる
大きくまとめるとこのようになります。
経済産業省によれば、企業がこのまま既存のシステムを使い続けた場合、2025年から5年間で最大12兆円もの経済損失が出ると指摘しています。
自社にあったやり方を用いて、なるべく早くRPAツールの導入・DX化を進めていくことが、今後企業が生き残っていくうえで必ず必要となってきます。
今はまだ大丈夫、と先送りにするのではなく5年後10年後を見据えた経営者を行う為にも、是非一度RPAツールの導入・DX化を検討されてみてください。
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